お面ライダー「ストロングゼロ文学」@ゴクおじ

酔いどれオヤジのツイッターで書き足りなかったこと。ツイッター https://twitter.com/strong0novel

課金

よし!アラジンチャンス来たぞ!モーニングゲットだ!

 

俺のギャンブル依存は学生のころ始まった。

当時は朝一番で大当たりを仕込んでいる店が多数あり、それを狙って授業をさぼって行列にならんでいた。

大当たりの快感は麻薬だ。

それが途切れると禁断症状が起きる。

 

負けているときは最悪な気分だ。

さっきまで財布にあった1万円札が30分もしないうちに手元から消え去る。

数万負けてパチンコ屋を出るときは、嘔吐してしまいそうに気持ちが悪い。

もう二度とパチンコなんかやるかと思うが、翌日には勝って取り戻そうという考えに至る。つまり、病気だ。

 

社会人になり、金銭に多少の余裕ができると競馬にもはまりはじめる。

たった数分のレース結果で、100円が数十万に化けることがある。

元来のオタク気質をくすぐるように、血統や調教などはまる要素が山ほどあり、パチンコと共に底なし沼に落ちていった。

 

だが俺に競馬のセンスはなかった。

20年で黒字だったのはたったの1年。

そして俺は返済が困難になるほどに借金を抱え、仕事も家族も家も失いそして、精神科に入院をした。

 

退院し、ニート期間をはさみ、アルバイトから社会復帰をして10年たつ。

以前より条件は悪いものの、正社員として順調に働いた。

パチンコ依存は治り、競馬もたまに大きいレースを少しするだけと依存症は改善された。

 

世の中はスマホ時代に突入している。

おくればせながらスマホにした俺だが、まとめやポータルサイトを見るだけだったが、ソシャゲに誘われることになる。無料でできるらしい。

 

オタク気質なおれは、また沼にはまることになる。

 

次々登場するキャラクター。

魅力的なコラボ。

期間限定のイベント。

 

仲間とのマウントの取り合いになり、一番でいなければならないという謎の使命感に支配されはじめる。

 

「あいつはコラボキャラをコンプしたと言っていたな。くそっ!」

「あの難関クエストを突破したと言っていたが、このガチャキャラをゲットしたからだったのか!なんてことだ、俺は持っていない!」

 

アマゾンコインを購入しようとするが、限度いっぱいのカードが認証されない。

 

「くそ!今日でイベント終わってしまうぞ!よし、サラ金で借りてプレイカードをコンビニで買えばいい。」

 

俺は勢いよく部屋を飛び出した。

あのキャラをゲットするために。

 

病気は治らない。

 

 

注フィクションです!