課金
よし!アラジンチャンス来たぞ!モーニングゲットだ!
俺のギャンブル依存は学生のころ始まった。
当時は朝一番で大当たりを仕込んでいる店が多数あり、それを狙って授業をさぼって行列にならんでいた。
大当たりの快感は麻薬だ。
それが途切れると禁断症状が起きる。
負けているときは最悪な気分だ。
さっきまで財布にあった1万円札が30分もしないうちに手元から消え去る。
数万負けてパチンコ屋を出るときは、嘔吐してしまいそうに気持ちが悪い。
もう二度とパチンコなんかやるかと思うが、翌日には勝って取り戻そうという考えに至る。つまり、病気だ。
社会人になり、金銭に多少の余裕ができると競馬にもはまりはじめる。
たった数分のレース結果で、100円が数十万に化けることがある。
元来のオタク気質をくすぐるように、血統や調教などはまる要素が山ほどあり、パチンコと共に底なし沼に落ちていった。
だが俺に競馬のセンスはなかった。
20年で黒字だったのはたったの1年。
そして俺は返済が困難になるほどに借金を抱え、仕事も家族も家も失いそして、精神科に入院をした。
退院し、ニート期間をはさみ、アルバイトから社会復帰をして10年たつ。
以前より条件は悪いものの、正社員として順調に働いた。
パチンコ依存は治り、競馬もたまに大きいレースを少しするだけと依存症は改善された。
世の中はスマホ時代に突入している。
おくればせながらスマホにした俺だが、まとめやポータルサイトを見るだけだったが、ソシャゲに誘われることになる。無料でできるらしい。
オタク気質なおれは、また沼にはまることになる。
次々登場するキャラクター。
魅力的なコラボ。
期間限定のイベント。
仲間とのマウントの取り合いになり、一番でいなければならないという謎の使命感に支配されはじめる。
「あいつはコラボキャラをコンプしたと言っていたな。くそっ!」
「あの難関クエストを突破したと言っていたが、このガチャキャラをゲットしたからだったのか!なんてことだ、俺は持っていない!」
アマゾンコインを購入しようとするが、限度いっぱいのカードが認証されない。
「くそ!今日でイベント終わってしまうぞ!よし、サラ金で借りてプレイカードをコンビニで買えばいい。」
俺は勢いよく部屋を飛び出した。
あのキャラをゲットするために。
病気は治らない。
注フィクションです!