世之介日記VOL.4.1~絶望編~
男は恋愛を上書き保存できない。
別フォルダに保存する。
とは言われているが、それは本当だ。
だって、おれがそう。
過去に関係した女性(疎遠になった男友達もだけど)たちは、スマホの電話帳に全員残っている。
LINEが登場してから、自動的に友達に追加される機能ができ、たまに過去の人たちの生活が垣間見えることがある。
Aちゃんはおれが教育した後輩と結婚したようだった。
たしかに同じ部署なので、どこかでつながりがあってもおかしくない。
ありふれた苗字ではない後輩と同じ苗字になったAちゃん。
あいつはいいやつだ。幸せになっていてほしい。
スイカとか大きな果物では例えられない。
おれの上で暴れる巨乳を表現するなら、アメフトであっちこっちでもみくちゃにされているフットボールのようだ。
顔を埋めたら窒息死しそうな、AVというファンタジーでしかみたことのないIカップにおれは溺れはじめていた。
しかし、マジメキャラだと思っていたAちゃん。
本命は補佐社員のほうで、おれとは遊びだった。
数回の逢瀬のあと疎遠になり、先輩が異動した職場に留まる理由はなく、ほどなくしておれは職場を後にした。
それから1年。
またしてもニート生活が始まる。
起きてネットをつけ、常駐サイトを周回する。
マンガを読む。
めしを食う。
夢みがちなことしかできないおれは、将来はバーを経営すると妄言を言い、夜は焼酎バーでバイトしたりしていた。
そのバーでも使い物にならず、叱られてばかり。
帰り道はまだあった赤線地帯をひやかしながら現実逃避をし、己の無力さに打ちひしがれていた。
そんな日常の救いはやはりネットであり、仲間が集まるとあるサイトだった。
そこにはおれと同じように常にオンラインしている連中がいて、お互いの傷をなめ合っていた。
オフ会なども行われるようになり、新たな出会いが始まった。
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次回予告「IT編」
注:これはフィクションです。妄想です。