お面ライダー「ストロングゼロ文学」@ゴクおじ

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#リプした人が一冊の本だとしたら最初の1行には何と書いてあるか考える

のの🌷 on Twitter: "別に狙っているとかじゃない。まぁ可愛いなとは思っているけど。いつものコンビニいつもの時間なのにあの子がいない。こんなこと今まであったっけ。… "

 

#リプした人が一冊の本だとしたら最初の1行には何と書いてあるか考える

 

というハッシュタグをみかけ、相互さんがやっていたので書いてもらいました。

 

この出だし、続きがめっちゃ読みたい!!!

 

ということで、自分で書いてみます。

 

 

「いつものコンビニ」

 

別に狙っているとかじゃない。まぁ可愛いなとは思っているけど。

いつものコンビニいつもの時間なのにあの子がいない。こんなこと今まであったっけ。

「体調を壊したのか?まさか退職してしまった?」

あの子がいない理由を考えながらレジに並び、オーナーの奥さんと思われる初老の女性のレジで俺はタバコとホットコーヒーを購入した。

 

現場が始まる前。午前7時のコンビニは俺たちのような現場作業員であふれかえっている。

昼はだいたいラーメン屋へ行っているから、10時と3時の休憩で口にするタバコを買う。

このコンビニに寄るようになったのは、おれの愛モクJPSが売っているからだった。

だった。というのは、理由が途中で変わってしまったからだ。

ちょうど1年くらい前から、朝のアルバイトにあの子が入ってきた。

年齢はハタチくらいだろうか。おそらく大学生のアルバイトだ。

最初のころは567番のJPSを探すのにも戸惑ったり、JPSの相棒のホットブラックコーヒーの値段を間違えたりしていたが、今では俺の顔を見ただけでJPSもブラックコーヒーのカップも用意されるようになっていた。

 

40歳、独身。

そりゃあ、彼女がいたこともあったし、結婚しようかなんて話になったこともあった。

けど、流れ流れてすっかり独り身が身についてしまい、JPSとブラックコーヒーと帰宅してからのウイスキーがあればよかった。

それなのに、朝のあの子の笑顔が欠かせないものとなってしまったのはいつからだろう。

別に特に話しかけたりなんてアプローチはしていない。

ハタチくらいの女子大生と現場仕事の40オヤジじゃ住む世界が違いすぎる。

彼女の世界の片隅に、毎朝くるJPSとブラックコーヒーのオヤジが住んでいて、ありがとうございますの言葉と笑顔をくれるだけでいいんだ。

 

でも、今日はいない。

翌日もいなかった。

そしてまたその翌日も。

 

そして1週間がたった。やはりあの子はいなかった。

 

俺はいつものようにJPSとブラックコーヒーを買うためにレジに並んだ。

あの子がいなくなった初日にレジを打ったオーナーの奥さんがレジ担当だ。

 

「567番ひとつとホットコーヒーのLサイズ」

 

いつもの注文を奥さんに告げると、奥さんはじっと俺の顔を見つめてきた。

 

「お客さん、あなたね!576番とホットコーヒーの!待っていたのよ~。ほら、先週までいたでしょ、サトウさん(そういえばあの子の名札にはサトウと書いてあったっけ)。あの子大学を卒業することになって辞めちゃったのよ。お客さんのことを気にしていてね、567番とコーヒーのお客さんにお別れの挨拶言えなかったって、後悔していたのよ。」

 

そ、そうだったのか?

おれは少し動揺してしまった。

いやいや、勘違いしてはいけない。そんなことありえない。

思い出せ、自分がハタチのころ、40の人間なんて年寄りくらいに思っていたはずだ。

 

「じゃあ、これいつものおタバコね。それと・・・・」

 

タバコの下に小さなメモがあって、タバコと一緒に手渡された。

 

「ありがとうございましたー」

 

店を出てクルマに乗り込み、おれはメモを広げてみた。

 

「567番とコーヒーのお客んさん。いつもありがとうございました。

父と同じ銘柄のタバコを吸っている人が珍しくてすぐに覚えてしまいました。私は卒業してバイトを辞めることになりましたが、お客さんに会えなくなるのがさみしいです・・・・・」

 

メモの最後にはLINEのIDがあった。

 

友達登録?ってどうやるんだっけ??

 

現場に行く時間を忘れて俺はグーグルに問いかけた。