世之介日記VOL.5.1~IT編~
そのサイトで付き合って結婚まで至ったカップルがいる。
チャットルームでは毎日顔を合わせ、時にはオフ会もしてリアルに仲良しになったメンバーだ。
石川と山口という距離感がネット世界というリアリティを物語っている。
俺も結婚式に呼ばれ、新郎の叔父の挨拶の「IT婚とでも言いますか」などとの挨拶がとても記憶に残っている。
当時としてはまだ、ネットで出会い結婚まで至るというのは珍しかった。
おれはと言えば、とても安いながらもとりあえず定職についていた。
独身、実家暮らし。
それなりに日々を楽しく送る生活をしていた。
そんななか、そのサイトで出会ったKちゃんは大学4年生だった。
サイトでのチャットで仲良くなり、オフ会で初めてあって意気投合。
30代も半ばにさしかかろうとしていた俺と、まさか付き合うことになるとは思わなかった。
スラっと背が高く、どこかオリエンタルな雰囲気の美女Kちゃん。
6大学に在籍していて、頭もいいこんな若い子が俺を相手にしてくれるなんて。
お酒は強くなかったけど、飲むのが好きで、二人で飲みに行ってはホテルへ行くというデートを繰り返していた。
若い彼女は元気。
まだ30代だった俺もなんとかついては行けたが、今だったらと考えると無理難題だろう。
実家へ来たこともあった。
母親とも顔合わせし、将来は俺と結婚したいとまで言っていたと母親から聞いた。
下の部屋に母親がいるのに、2階の俺の部屋で始めたのはなにかスリルがあって興奮したものだ。(今で言うこどおじの部屋か)
そんなKちゃんとの付き合いは1年弱で終わりを告げた。
電話での一方的な別れ。
今思い出しても、当時はクズそのものだった俺はふられるのは当然だったであろう。
しかし、ネットの世界での出会いはこれだけではなかったのである。
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次回予告「VOL.5.2~IT編~」
注:これはフィクションです。妄想です。